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サッカー経験ゼロ 古橋亨梧ら支えるセルティック唯一の日本人社員

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スコットランドリーグ杯の優勝カップを手に記念写真に納まるセルティックの古橋亨梧(左)と井堂彰人さん=セルティック提供
スコットランドリーグ杯の優勝カップを手に記念写真に納まるセルティックの古橋亨梧(左)と井堂彰人さん=セルティック提供

 日本で最も注目を集める欧州のサッカークラブの一つが、スコットランドの名門セルティックだ。今季、横浜F・マリノスをJ1優勝に導いた経験を持つアンジェ・ポステコグルー監督(56)が率い、FW古橋亨梧(27)ら日本代表クラスの4選手が奮闘し、スコットランド・プレミアリーグで2季ぶりの優勝を果たした。実はクラブの裏方にも重要なミッションに挑む日本人スタッフがいる。

 「ここにたどり着いたのは、いろんな所を遠回りしてきた結果です」

 セルティック唯一の日本人社員である井堂彰人(いどう・あきひと)さん(37)は苦笑する。サッカーの競技経験はない。その歩んだ道には、世界的司令塔との出会いなど多くの縁が重なる。

 セルティックは1888年に創設され、1967年にヨーロピアンカップ(現欧州チャンピオンズリーグ)を制した老舗クラブだ。かつてMF中村俊輔(現J2横浜FC)が活躍したクラブとして日本のサッカーファンにはなじみ深い。同じグラスゴーの宿敵・レンジャーズとの「オールドファーム」は世界有数のダービーマッチと知られる。

 昨年6月にポステコグルー監督が就任すると、翌月にはJ1ヴィッセル神戸から古橋を獲得した。古橋が得点を量産してエース格へ成長すると、昨年末には移籍市場を驚かせた。横浜マからFW前田大然(24)、川崎フロンターレからMF旗手怜央(24)、ガンバ大阪からMF井手口陽介(25)という有力選手を一気に引き抜いたからだ。

 英語とスペイン語に堪能な井堂さんが迎え入れられたのも、日本選手4人を手厚くサポートするため。チームは連勝街道を走り、5月11日に2季ぶり52回目のリーグ王座をつかんだ。日本選手の補強が原動力となり、井堂さんは「スコットランドでは日本への関心が日に日に強くなっていると感じる。『(古橋)亨梧だけじゃなかった』と」と語る。

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 「人生、流れを読むことだけは心がけてきた」という井堂さんの「遠回り」を振り返りたい。

 滋賀県出身で、帰国子女の多い同志社国際高(京都)に進み、「英語は当たり前の環境」で育った。同志社大3年時にはスペイン語を学ぶため、メキシコに1年留学。帰国すると就職活動の機会を逃したこともあり、ラテンアメリカの研究が盛んな上智大大学院へ進んだ。「具体的なビジョンを描かず」決めた道だったと言うが、そのまま博士後期課程へ。…

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