「ライフハック」で対応できない差別 気をつけたい日常の振る舞い
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

日常の無自覚な言動などに潜む「差別」を見いだす新しい概念、マイクロアグレッションについて考える連載。こんな概念が普及し始めたなかで、普段の何気ない一言が「差別だ!」と批判されないためには、どんな「ライフハック」(生活の知恵)があるだろうか? マイクロアグレッション的な発言と対処法を具体的に示した著書「あなたを閉じこめる『ずるい言葉』」が話題の、森山至貴早稲田大准教授に聞いてみた。【オピニオングループ/鈴木英生】
悪意なく、直接の否定ではなくとも…
――最近、特に気になるマイクロアグレッションは?
◆特にテレビなどでよく見かける「国民的人気」とか「日本人ならば誰もが」といった表現が気になります。外国籍の人や外国で育った人には「あなたを除外して話しています」と聞こえます。あるいは「ゲイだからセンスがいいんですね」は、褒め言葉のつもりでも、「あなたはこの属性だからこう」と決めつけている。いずれも、まったく悪意なくマイノリティーを傷つける典型的なマイクロアグレッションです。
――たとえば、父子家庭の子どもに「優しいお母さんがいる」前提で描かれた絵本や子ども番組のシーンを見せてしまうのもマイクロアグレッション?
◆まさにそうですね。それらの絵本や子ども番組が、直接、父子家庭をネガティブに描いているわけではないけれど、「優しいお母さんのいない不幸なあなたを排除します」と言っているのと同じことです。
――「日常の何気ない言葉まで差別とされたら、何も言えなくなる」という気もしますが。
◆問…
この記事は有料記事です。
残り2910文字(全文3557文字)