「もうダメだ、が口癖に」 今も続く震災関連死認定 福島の教訓
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2011年3月の東日本大震災の後、避難生活による体調の悪化などで亡くなる「震災関連死」の認定が福島県で今も続いている。同県の関連死は東京電力福島第1原発事故の影響で突出して多く、これまでに2333人が認定された。関連死の認定を巡って遺族が自治体に提出した経緯書をひもとくと、過酷な避難や度重なる転居、故郷の喪失感が高齢者らの心身をむしばんでいたことがうかがえる。
長期避難「一刻も安住の地はなかった」
福島第1原発が立地する福島県双葉町から同県いわき市に避難している元高校教諭の穂積憲一さん(71)は、両親を震災関連死で亡くした。デイサービスに通っていた父吉久さん(当時83歳)は避難直後に体調を崩し、肺炎で急死した。元気だった母繁子さんも長引く避難生活の中で次第に弱っていき、震災10年目に88歳で亡くなった。
穂積さんによると、繁子さんは17年ごろまで月に2回のペースで、避難先から一時帰宅していた。放射線量が高く、帰還はできない。自宅は動物に汚され、空き巣に入られた形跡もあった。そんな現実を前に、繁子さんは「ここで死ぬことはないんだな」と何度もつぶやいたという。
18年ごろから、繁子さんは両足が自由に動かせなくなり、忘れっぽくなった。20年4月に息苦しさを訴えて入院すると、面会のたびに「双葉に帰りたい」と言った。同年9月、慢性呼吸不全の急性増悪で亡くなった。
繁子さんは原発事故後、…
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