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時短命令に違法判決 行政に慎重な適用求めた

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 新型コロナウイルス対策で、東京都が飲食店に出した営業時間の短縮命令について、東京地裁が違法と判断した。

 時短命令は、国民の権利を制限するものであり、違反には罰則も設けられている。行政に慎重な適用を求めた判決だ。

 2回目の緊急事態宣言が出されていた昨年3月、都は夜間の営業時間短縮要請に応じない27店に、全国初の命令を出した。うち26店を営む飲食チェーン「グローバルダイニング」が提訴していた。

 夜間営業の継続をホームページで発信したことへの「見せしめ」だと主張した。都内では当時、時短要請に応じない飲食店が2000余に上っていた。

 判決は、時短の要請や命令そのものは重要な感染対策であると認めた。不合理な規制とはいえず、「営業の自由」を保障した憲法にも違反しないと判断した。

 ただ、新型コロナの特別措置法では、命令を出せるのは「まん延を防止するため、特に必要がある時」に限られている。今回のケースは、これに当たらず違法だと結論づけた。

 当時は新規感染者数が減少しており、緊急事態宣言の解除も決まっていた。命令の効力は4日間しかなかった。

 判決は、こうした状況下での命令の必要性について、都が合理的な説明をしていないことを問題視した。命令を出す基準も明確でないと批判した。

 感染防止策など、店舗側の取り組みを考慮する必要があるとの考え方も示した。

 一方で、都の賠償責任は否定した。時短命令の判断に当たって参考にできる前例はなく、有識者も賛成していたことから、過失はないとの判断だ。

 都の審議会では「時短要請に応じない状況は、要請に応じている多数の飲食店との不公平感を生じさせる」との意見が出ていた。

 とはいえ、行政に慎重な対応を求めた判決の指摘は重い。今後、十分に調査・吟味しないまま命令を出した場合は、賠償責任を負わせることもあるという警告だ。

 行政が自由や権利を制限する施策を実施するのならば、国民の理解が最大限得られるよう、説明を尽くさなければならない。

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