感じ取る心、覚悟 ひめゆり平和祈念資料館学芸課長・古賀徳子さん
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沖縄戦の語り継ぎは今、戦争の直接体験者から未体験の次世代に託されている。ひめゆり平和祈念資料館(沖縄県糸満市)の学芸課長、古賀徳子さん(51)は戦争体験がないことに加え、九州出身で沖縄に縁戚者を持たない。だが、元ひめゆり学徒の証言とその胸の内の複雑な思いという、記憶につながる手がかりに濃密に接する中で、その体験を身近なこととして感受するようになった。「生かされた命」である元学徒たちが後世に残そうとしたメッセージの意味を、きちんと伝えなければ。穏やかな表情に、覚悟も浮かぶ。
元学徒の証言に息をのみ
古賀さんは2009年、資料館に採用され、ひめゆり学徒隊の記憶継承に関わることになった。
特別展「ひめゆりの証言員たち」(14年)の企画では、元学徒がどのように体験を語り始めたかをテーマに、証言収録のビデオを製作。胸に秘めてきたことを語る姿に、息をのむ。
そのうちの一人、沖縄師範学校女子部(女師)本科2年生だった大見祥子さん(96)は、同級生で共にひめゆり学徒隊に動員された狩俣キヨさん(当時19歳)について証言した。
大見さんは戦後、出身地の今帰仁村や本部町で小・中学校、那覇市で定年まで幼稚園の教諭を務め、16年春まで資料館で証言員として戦争体験を語り続けた。包容力のある口調。だが、落ち着きをたたえたこの人が心を乱してしまったことがある。
宮古島から小学生が資料館にやってきた、ある日。大見さんは、宮古島出身の狩俣さんについて話すことにした。だが……。
「優しく世話好きで多くの友に親しまれていた。歌唱力に秀で、音楽の時は透き通った歌声がまわりを包んだ。バレーボールも得意だった。教師をしていた兄を尊敬し、何かにつけて兄のことを話していた」(ひめゆり平和祈念資料館編『…
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