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マイナス成長と物価高 回復は暮らし支えてこそ

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 日本経済が景気停滞と物価高という二重苦に直面している。大きな打撃を受ける人たちの暮らしを支える政策が必要だ。

 1~3月期の実質国内総生産(GDP)は年率1%減と、マイナス成長に陥った。新型コロナウイルスの感染拡大で、飲食店の営業などを制限するまん延防止等重点措置が適用されたことが響いた。

 4~6月期はプラスに転じるとの見方が多いが、予断を許さない。ウクライナ危機と円安が物価高に拍車をかけているからだ。

 4月の消費者物価上昇率は2%を超えた。消費増税の影響があった時期を除くと、13年半ぶりの高水準だ。ガソリンや電気・ガス、食料品の値上がりが目立った。

 賃金の伸びは鈍く、物価上昇分を差し引いた実質賃金は前年比でマイナスに沈んでいる。物価は一段と上がるとの予測もあり、消費はさらに冷え込みかねない。

 心配なのは、コロナ禍であらわになった格差が拡大することだ。

 値上がりしているのは生活必需品が多く、低所得者ほど負担が大きい。飲食店などで働く非正規従業員らは、ただでさえコロナ禍で困窮している。

 労働者の7割が働く中小企業にとってもダメージは大きい。下請けが多いため、原材料価格の上昇分を転嫁できず、損失をかぶっている。円安を追い風に好業績が相次ぐ大企業とは対照的だ。

 だが、岸田文雄政権の対応はちぐはぐだ。ガソリン価格抑制のため業界に補助金を1兆円超もつぎ込む半面、低所得者への支援は、子どものいない世帯などが対象になっていない。

 一方、政権が昨年決めた18歳以下の子どもへの10万円給付は家計に余裕のある家庭も含めていた。多くが貯蓄に回り、景気を支える効果は乏しかったと言われる。的外れの対策を繰り返していては、ばらまきに終わる。

 日銀の政策とも整合性を欠く。物価上昇率は目標の2%に到達したものの、景気回復の結果ではないと判断し、異次元緩和を続ける方針だ。低金利の円がさらに売られると、物価高が加速する。

 格差を是正し、消費を下支えしなければ、景気の回復もおぼつかない。政府・日銀は連携して、効果的な対策を検討すべきだ。

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