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わたしのふるさと便

あまり知られていない観光スポットや地元で人気の食べ物を、現地で勤務する支局長が紹介。47都道府県を巡ります。

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わたしの穴場 富山県 「射水市・内川」 落語家・とやま落語大使 立川志の輔さん

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夕暮れ時の内川。漁船が係留された川面に外灯のあかりが映る=富山県射水市新湊地区で 拡大
夕暮れ時の内川。漁船が係留された川面に外灯のあかりが映る=富山県射水市新湊地区で

「日本のベニス」再発見

 私の古里・射水(いみず)市新湊(しんみなと)地区の内川は「日本のベニス」と呼ばれています。最近、帰るたびに感じるようになりました。ここで見る夕焼けは涙が出るぐらいすてきだなあ、って。

 18歳まで住んでいましたが、子供の頃は何とも思っていませんでした。家は内川から100メートルほどの所にあり、川に入って遊んだり、水が引いたら川底のくぎや磁石を拾って製鉄所に持って行ったりしていました。子供たちは、「悪いことをしたら内川に放り込むぞ」と大人によく言われたものです。

 そんな場所のことを同級生が胸を張って「日本のベニス」と言い切るのを聞いて笑いました。だって、ベニス(イタリアのベネチア)は世界中から観光客が集まる「水の都」ですよ。でも同級生から内川の美しい風景写真を見せられ、「これが内川?」と驚きました。何でもない川だと思っていたのに、知らない地元の姿でした。

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 地元の人たちが頑張って周りを整備し、すばらしさを発信してきたから、今の内川があります。映画やドラマのロケ地にもなっています。訪れた人は、魅せられてしまうんでしょうね。

 富山を離れ、落語家になってから知った地元の良いところは他にもたくさんあります。「富山湾の宝石」と称され、新湊漁港に水揚げされるシロエビの漁もそうです。持続可能な漁にするため、取れた分をみんなで均等に分けて取り過ぎを防ぐ仕組みを導入しています。こういう漁をずっと続けていることを富山県出身者として誇りに思います。

 どんな土地にも、地元の人々が自慢したくなる所があるものです。落語会で全国を訪れるのでそう感じます。私も、一人でも多くの人が内川に来てくれたらいいなと願っています。「出身はどこですか」「日本のベニスです」「あー、新湊ですか」。そんなやり取りが、いつかできたらいいですね。【聞き手=富山支局長・立松敏幸】


 <メモ>

 内川は新湊地区を東西に流れる約3・4キロの河川。富山新港、富山湾とつながっている。川べりに民家が建ち並び、両岸に係留された漁船が水に揺れて、港町の風情が漂う。周辺にはベンチや無料駐車場、「川の駅新湊」があり、ゆっくりと散策を楽しめる。遊覧船も運航。JR高岡駅から射水市内までを結ぶ路面電車・万葉線で約40分、新町口駅が最寄り。


次回は岐阜県です

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 ■人物略歴

立川志の輔(たてかわ・しのすけ)さん

 1954年生まれ、富山県新湊市(現射水市)出身。明治大卒業後、広告代理店勤務を経て83年、立川談志門下となる。90年、立川流真打ち。同年からほぼ毎月1回、富山市で落語会を開催するなど地元でも積極的に活動している。自身の新作落語が原作の映画「大河への道」が公開中。

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