「プーチン」を風刺するステージを コメディアンの挑戦

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ロシア語で、世界各国のイメージを投影した「ゾンビ」ネタで観客を笑わせる清水宏さん(中央)=東京都港区で2022年4月29日、大野友嘉子撮影
ロシア語で、世界各国のイメージを投影した「ゾンビ」ネタで観客を笑わせる清水宏さん(中央)=東京都港区で2022年4月29日、大野友嘉子撮影

 時事ネタやトーク、際どい笑いをも辞さないスタンダップコメディアン、清水宏さん(56)は、ロシアによるウクライナ侵攻を巡る連日の報道に、かつてロシアの街で舞台に立った記憶がよみがえった。「出身国や立場に関係なくコメディーを提供したい。ウクライナ人も、ロシア人も、日本人も笑えるように」。近く、完成したばかりの台本でプーチン大統領を「風刺する」ステージに臨む。その手法はロシアの文豪、ドストエフスキーの作品を参考にしているというが、その心とは。【大野友嘉子】

日本のスタンダップコメディアンの挑戦

 スタンダップコメディーとは、コメディアンが1人で舞台に立ち、観客と対話形式で進めていく欧米などでポピュラーな話芸だ。もともと劇団俳優だった清水さんは1980年代、米ニューヨークでスタンダップコメディーと出合い、ピン芸人として活動を始めた。2011年から英国、米国、カナダ、韓国、ロシアなど海外公演を重ね、カナダのフェスティバルでは、最優秀外国人賞を受賞している。そんな清水さんが今、取り組んでいる新しいテーマが「ロシア」だ。

 約5年前の17年9月、首都モスクワとサンクトペテルブルクで約10日間、ステージに立った。米英といった日本人になじみのある「西側」の国では公演を終え、「未知の文化を持つ、未知の国に行ってみたいと思った」からだ。

 「未知」への挑戦を前に、日本の同業者からは「ロシア人はなかなか笑わないよ」と忠告された。さらに、ロシア語のセリフを練習し、発音を教えてくれたロシア人留学生からは、ロシアには「三つのタブー」があると聞かされた。

 「タブーはどこの国にもあります。日本なら皇室でしょう。ロシアの場合は、プーチン、ロシア正教会、ナチスだと教えてくれました」

 しかし、清水さんはそのタブーを破ることになる。ある晩のサンクトペテルブルクでのステージ。あまりにも観客が笑わないので、思い切ってドイツの「ゾンビ」がナチス式の敬礼をするという場面を入れてみた。意外にも笑いが起きた。普段は触れられない話題だが、何か…

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