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首脳会談、「中国抑止」の姿勢鮮明 正念場迎えた日米同盟

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日米共同記者会見を行うバイデン米大統領(左)と岸田文雄首相=東京・元赤坂の迎賓館で2022年5月23日午後2時33分(代表撮影)
日米共同記者会見を行うバイデン米大統領(左)と岸田文雄首相=東京・元赤坂の迎賓館で2022年5月23日午後2時33分(代表撮影)

 岸田文雄首相とバイデン米大統領は23日の首脳会談で、軍事・経済両面で台頭する中国に対抗する姿勢を打ち出した。米国はインド太平洋地域への関与強化を目指し、日本も貢献する考えだが、ロシアのウクライナ侵攻への対応も求められる中、日米同盟は正念場を迎えている。

IPEF巡る日米の思惑

 「ともに自由で開かれたインド太平洋を築くことが繁栄とチャンスをこの地域のすべての人にもたらす」

 バイデン氏は23日、首脳会談後の記者会見で、新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を設ける意義を強調した。岸田首相も「米国による経済秩序への関与が重要だ」と述べ、IPEFに参加・協力する意向を示した。

 米国がIPEF設立を急ぐのは、独自の経済圏構想「一帯一路」を推し進め、同地域で影響力を強める中国をけん制するためだ。中国は、日韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国から成る地域的な包括的経済連携(RCEP)に参加し、日本や豪州、ベトナムなど11カ国が参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)にも加盟を申請。自由貿易圏での影響力強化をもくろむ。

 一方、米国はTPPの交渉を主導したが、「米国第一主義」を唱えるトランプ前大統領が17年に離脱を表明。その後、インド太平洋地域への経済的関与は薄れていた。同地域は世界人口の約6割を占め、米国は世界経済の成長に寄与する重要地域と位置づける。影響力を強めようと打ち出したのがIPEFだった。

 特徴は…

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