海外在住の子、中学受験に熱 「チャンス拡大」志望校別授業まで
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

中学受験熱は、国内のみならず、海外駐在員の子どもたちの間でも高まっている。私立中学側は国際色豊かな教育環境につながるとして帰国生の受け入れには前向きだ。大手受験塾も、コロナ禍でオンライン授業の導入を進めたノウハウを生かし、海外在住者に向けた授業の配信に力を入れ始めた。【内橋寿明/東京社会部】
オンライン授業、ドバイやNZから
「日本は午後1時半だけど、そっちは何時?」。大手受験塾「早稲田アカデミー」(本社・東京都豊島区)の講師がホワイトボードを背に尋ねると、モニター画面の向こうで1人の生徒が「(午前)8時半です。早起きしました」と答えた。2021年5月にあったオンライン授業の一幕だ。
生徒は、アラブ首長国連邦の主要都市ドバイで受講。この授業は渋谷教育学園幕張中(渋幕、千葉市美浜区)を目指す小学6年生向けで、他にもニュージーランド、東京、千葉、大阪、熊本の生徒が受講。渋幕は首都圏の難関校の一つで、中学受験界では市川、東邦大東邦と並ぶ「千葉御三家」と称される。
首都圏などの大手塾は、難関校別にこうした特別授業を設けており、各校の出題傾向を踏まえた対策を指導している。早稲田アカデミーでも、「志望校別コース」と名付けて毎週日曜日に開講している。
同社では、コロナ禍での感染防止対策を迫られたことをきっかけに、オンライン化を徐々に進めてきた。今では、授業をウェブ配信するだけではなく、生徒たちに専用アプリを使ってテストや宿題を提出してもらい、採点や添削指導を書き込んだ答案をオンラインで返すこともできるようになった。
早稲田アカデミーは、東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城で約120校を展開しているが、これらの地域以外でも首都圏の難関校を目指す生徒が一定数いる。その生徒が通う地元塾には、首都圏の難関校に特化した授業がないために、オンライン形式であっても、地方都市では志望校別コースの需要があるのだ。
同社は、コロナ禍で培ったノウハウを生かし…
この記事は有料記事です。
残り2081文字(全文2903文字)