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東京五輪キャップが見た「公式映画」 思い出すパラレルワールド

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東京オリンピックの公式記録映画「サイドA」の完成披露試写会であいさつをする河瀬直美監督=東京都港区で2022年5月23日、前田梨里子撮影
東京オリンピックの公式記録映画「サイドA」の完成披露試写会であいさつをする河瀬直美監督=東京都港区で2022年5月23日、前田梨里子撮影

 昨夏に開催された東京オリンピックの2部作からなる公式記録映画のうち、アスリートを中心に描いた「サイドA」が6月3日から公開される。新型コロナウイルスで様変わりする世界においても、逆境に立ち向かうアスリートを一人の人間として描いた。総監督の河瀬直美さん(52)が750日、5000時間の記録映像から物語として紡いだ作品。そこには、語られたものと語られなかったものがあるように思える。

「人生の金メダリスト」

 河瀬さんは23日の上映前の舞台あいさつで「人生、生きざまを体現するその姿に勇気、希望、感動をもらえる。それがスポーツ」と強調した。その言葉通り、映画に登場するのは自らの人生を自らの力で切り開くアスリートたちだ。競技の様子だけでなく、大会に出場するまでの姿を丹念に描いた。彼らの歩みは、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の大会総括の言葉「アスリートが魂を吹き込んだ大会」を思い起こさせる。

 2015年にボートで海を渡り、内戦下のシリアからドイツに逃れた難民の兄弟がいた。兄のモハマド・マソ選手(28)はシリア代表としてトライアスロンに出場し、弟のアラー・マソ選手(22)は支援を受けて難民選手団として競泳の50メートル自由形に挑んだ。兄弟そろっての五輪出場の夢を果たし、モハマド選手は「これは現実なのか、夢を見ているのか。絶望しかなかった。今は未来に希望が持てるようになれた」と前向きに語った。

 バスケットボール女子のカナダ代表、キム・ゴーシェ選手(38)は新型コロナ流行に伴う感染対策で海外からの入国が大幅に制限される中、ネット交流サービス(SNS)で「ママか、五輪選手か…

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