破壊された「感情のプラットフォーム」 戦禍逃れても不安際限なく
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ロシアの侵攻によるウクライナ難民の取材で出会ったのは、「感情のプラットフォーム」を失った人々だった。2022年3月中旬、フォトジャーナリストの小原(おばら)一真さん(36)はポーランドへ渡り、戦禍を逃れてきた人たちのインタビューや撮影を行った。戦地に家族を残してきた罪悪感や、先の見えない将来への不安。戦争が長期化し、よりどころをなくした難民の心は国境を越えてなお「不安定な境界線上にある」と小原さんは語る。
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侵攻が始まる前々日の2月22日。両国間の緊張が高まる中、小原さんのもとに1通のSNSメッセージが届いた。「夫のパーシャが戦いの最前線にいる」。ウクライナ北部の町スラブチチに住む友人、ナレシュカさんからだった。2人とは15年、チェルノブイリの取材を通じて知り合って以降、交流を深めてきた。
ほどなくして軍事侵攻が始まった。ナレシュカさんからはその後、子どもを連れてドイツへ逃げたと連絡があった。日本でも連日戦況が報道され、パソコンや携帯電話の画面で数分おきに更新される情報を追う中、小原さんはメディアが伝える戦争や難民といった「主語の大きさ」に戸惑いを抱くようになったという。
最前線にいる兵士の一人に、そして数百万人と報じられる難民の一人に友人がいる現実。「そういう個人を抜きにあまりに大きな話でメディアの情報が占拠され、果たして自分が自分の感覚で戦争というものをつかめているのか不安になりました」。さらに「ブチャ虐殺」など衝撃的な映像によって人々の感情が揺さぶられ、SNS上のやりとりが熱を帯びるさまを見ながら…
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