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衆院予算委と首相 議論を阻む予備費の乱用

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 衆院予算委員会で今年度補正予算案が審議された。岸田文雄首相と与野党議員による久々の論戦の場である。だが、目に付いたのは首相のあいまいな答弁だった。

 そうした姿勢は、国会審議を必要としない予備費の乱用に象徴される。

 補正予算案約2・7兆円のうち、使途を明示したのはガソリン高対策の約1・2兆円だけだ。政府の裁量で決められる予備費が半分以上を占めるのは異常である。

 予備費は本来、災害などの緊急時に備えるものだ。新型コロナウイルス対策の名目で積み増しされ、今回は物価高対策にまで広げられた。

 だが、首相は審議の中で、具体的な物価高対策を示さなかった。

 立憲民主党の泉健太代表は生活必需品の値上げが続く中、年金を減額される高齢者への支援策を問いただした。首相が挙げたのは、昨年秋に決定済みの住民税非課税世帯への10万円給付などだった。

 野党議員がガソリンに対する補助金以外の対策を質問しても、「しっかり対応する」などとはぐらかすばかりだった。

 どのような政策にいくら予算を充てるのか、具体的に示さなければ議論が深まるはずがない。

 首相は予備費を追加する理由について「不測の事態に対応するため」との説明をくり返した。だが、これでは何でも政府に白紙委任することになりかねず、税金が適切に使われているかをチェックする予算委の役割を果たせない。

 予備費以外のテーマでも、首相は野党議員の質問に正面から答えなかった。

 自らが掲げる「子ども政策に関する予算倍増」は達成時期を明示しなかった。

 バイデン米大統領との会談で約束した防衛費の「相当な増額」についても、具体的な規模や重点分野への言及を避けた。

 週刊誌が報じた細田博之衆院議長のセクハラ疑惑の質問も出たが、「議長が適切に判断されるべきことだ」と述べるにとどめた。

 夏の参院選が近づいている。

 政策の看板を掲げるだけで中身を語らない。税金の使い道を事前に説明しない。こうした姿勢では、国のかじ取りを任せられるのか有権者は判断できない。

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