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(吉川弘文館・1980円)
現代と対照的、木材循環の生活文化
日本の住宅の寿命は約32年。世界に類を見ないほど短く、イギリスでは約80年。アメリカにしても約67年で日本の2倍近い(国土交通省推計「滅失住宅の平均築後年数の国際比較」)。
中古住宅の市場価格も購入した時点で2割、1年で3割と下がり続け、木造だと25年でゼロ査定が相場とされる。市場価格がゼロならば住まない限り廃棄物も同然で、むしろ取り壊しに費用がかかる。40歳で30年ローンを組んでも払い終わる前に市場価値が消えるのだから、高齢者に資産が不足し、空き家が全国で増えるのも当然だ。
日本は震災国だからとか欧米のように石造りじゃないからと考えがちだが、そうした短慮を根底から覆すのが本書である。江戸中期から後期にかけて成立した「近世民家」は長寿命こそが民家の特徴だったとし、驚きの仕組みを解き明かす。
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