ホヤのファンになって 宮城の隠れた名産品、地元PR そのお味は

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新鮮なホヤのむき身を試食する「ほやドル」の萌江さん=宮城県石巻市で2022年5月31日午前10時41分、百武信幸撮影
新鮮なホヤのむき身を試食する「ほやドル」の萌江さん=宮城県石巻市で2022年5月31日午前10時41分、百武信幸撮影

 牛タン、カキ、笹(ささ)かま、ずんだ餅――。宮城県の名物として多くの人が思い浮かべるのは、この四つではないだろうか。実はもう一つ、隠れた名産品がある。国内で養殖されるホヤのおよそ半分が宮城産で、生産量日本一なのだ。しかし鮮度の維持が難しかったり、ゴツゴツした見た目や風味が独特だったりすることから、他地域ではあまり人気がないようだ。どうにかファンを増やそうと、地元関係者が今年、最新の知見を活用し新鮮なおいしさを保ったホヤのブランドを作った。果たしてその味は――。

鮮度が落ちると独特の臭みや渋み

 そもそもホヤはどんな生き物なのか。日本で食べられているホヤは主にマボヤとアカボヤで、宮城県で養殖されているのはマボヤだ。鮮やかなオレンジ色をしており、握りこぶしより少し大きい。ゴツゴツした見た目から「海のパイナップル」とも呼ばれる。

 ホヤを使って生物の遺伝子機能を研究している筑波大下田臨海実験センターの笹倉靖徳センター長は「無脊椎(せきつい)動物ではあるが、貝やイカよりも我々人類を含む脊椎動物に近い。脊椎動物の兄弟のような生き物と言っていいでしょう」と説明する。

 脊椎動物とは、哺乳類や鳥類、魚類のように背骨を持つ動物のこと。生まれたばかりのホヤはオタマジャクシのような形で、脊索という原始的な背骨のような器官がある。また、ヒトののどぼとけの下にあり、体の成長や代謝に関わる甲状腺に非常に近い働きをする器官が、大人のホヤにもある。

 ホヤは2020年に全国で9390トンが収穫され、その約46%の約4300トンが宮城産だった。それに北海道と岩手県が続く。

 これほどのシェアを占めるなら「宮城の名物」として…

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