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子どものマスク 顔が見える日常へ工夫を

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 新型コロナウイルス対策のマスク着用について、文部科学省が学校生活で不要な場面を例示した。

 子ども同士の間隔が十分に確保できれば、体育の授業や部活動、登下校時には着用する必要はない。鬼ごっこのような密になりにくい遊び、会話がほとんどない自然観察や写生の際もマスクなしでかまわない。

 政府が、大人を含めて着用に関する考え方を示したのを受け、学校向けに整理したという。

 高温多湿の環境では、マスク着用による熱中症のリスクが高まる。特に子どもの場合、汗をかく機能が未成熟なため体に熱がこもりやすい。文科省はマスク着用よりも熱中症対策を優先するよう促している。

 距離が十分取れる場合にはマスクは不要という指針は、これまでも示されてきた。

 だが、学校での感染防止の取り組みが求められてきたため、現場では着用が常態化している。屋外での体育の授業時でさえ、着用させているケースが少なくない。

 マスクを巡る考え方は、子どもや保護者によって温度差があるため、教師は一律に外すよう指導しづらい。暑さで苦しい時は外してかまわないと呼びかけている学校も多いが、子どもの側にもためらう空気があるという。

 混乱を招かないよう、不要なケースについて教育委員会や学校が子どもと保護者に丁寧に説明することが大事だ。その際、着用を希望する子らへの同調圧力につながらないよう注意する必要もある。

 長引くマスク生活が子どもたちの成長に与える影響を心配する声も出ている。

 人は言葉だけでなく、表情からも相手の心情を推し量る。マスクで顔の大部分が見えないと、子どもがそうしたコミュニケーションを学ぶ機会は失われがちだ。

 子どもたちはこの2年間、友達と親しく遊ぶ機会を制限されてきた。つながりが薄れたことで、心身の不調を訴える子が増えたという指摘もある。子どもらしい生活ができないことの心理的な影響についても目配りが必要だ。

 感染状況は地域によって異なる。工夫を凝らしながら、子どもたちの顔が見える日常を少しずつ取り戻していきたい。

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