携帯会社幹部「正直…」 岸田政権のデジタル構想「推進委員」の謎

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デジタル田園都市国家構想実現会議で発言する岸田文雄首相(右から2人目)。同3人目は若宮健嗣万博相=首相官邸で2021年11月11日午前11時13分、竹内幹撮影
デジタル田園都市国家構想実現会議で発言する岸田文雄首相(右から2人目)。同3人目は若宮健嗣万博相=首相官邸で2021年11月11日午前11時13分、竹内幹撮影

 岸田文雄政権が、目玉政策「デジタル田園都市国家構想」の基本方針をまとめた。この構想の柱の一つが「デジタル推進委員」。高齢者などにスマートフォン操作を教えるボランティア的な役割で、政府は2022年度中に全国で2万人以上を確保する方針を掲げる。ただ、具体的にどんな活動をするのかはナゾだ。インターネット上では、そもそも無給で「そんなに人が集まるの?」と疑問の声も上がっている。

「無給ボランティア」に冷ややかな声

 5月30日夜、デジタル推進委員の募集開始イベントが東京都千代田区のデジタル庁で開かれた。イベントでは、推進委員の制度を周知するアンバサダーの任命式があり、▽80代のアプリ開発者として知られる若宮正子さん(87)▽起業家でシニア向けのネット活用支援をする牧壮(まきたけし)さん(85)▽全盲の研究者で、日本科学未来館長の浅川智恵子さん(63)=イベント当日は欠席――の3人が任命された。いずれも年齢や障害をものともしないITの達人だ。若宮さんは、スマートフォンを通した交流で「若者は高齢者から生き方を学べる機会になる」と推進委員になる意義を語った。

 しかし、インターネットを使う人たちの反応はあまり温かいものではない。「ただ働きか」「本当に人が集まるの?」「デジタル庁は上から目線」という声がネット交流サービス(SNS)上で多数上がっている。

デジタル相が任命するスマホ指導員?

 デジタル推進委員は一体、何をするのか。

 デジタル庁のホームページに掲載された募集要項によると、企業や団体の主催するセミナーなどでスマホ操作を教えたり、セミナーへの参加を促したりするのが主な仕事だ。近所の高齢者を訪ねて教えたり、町中で声をかけられたら教えたりする、というようなものではなさそうだ。

 デジタル関連の講習を受けるなど一定の要件を満たした人はデジタル相から任命を受け、SNSや名刺で使える電子画像のバッジをもらうことができる。給料や手当はなく、任期は原則1年で年度ごとに更新できる。

 デジタル庁によると、デジタル推進委員が活動するセミナーは「スマホの操作を学ぶ学校のような厳密なものではない」という。そして、推進委員にもデジタルのプロ、というまでの知識は求められない。「できる範囲で、高齢者や障害者に寄り添ってもらう、またそういった経験がある人を任命する」としている。

 求められる知識がプロ級とまではいかないからだろうか。ネット上の冷ややかな声をよそに、政府は21年12月に掲げた推進委員1万人確保という目安を、デジタル田園都市国家構想の基本方針では2万人に倍増させた。

「2万人」は携帯電話のショップ店員?

 実は、高齢者のスマー…

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