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ウクライナ侵攻

ロシア軍がウクライナに侵攻。米欧や日本は対露制裁を決めるなど対立が先鋭化しています。

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戦火の街 焼けたハサミが伝えたモノ

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空爆で焼けた自宅から見つけ出したハサミ=インスタグラムより
空爆で焼けた自宅から見つけ出したハサミ=インスタグラムより

 焼けてさびついたように見えるハサミ。英語とロシア語の文章とともにインスタグラムに投稿された1枚の写真は教えてくれた。「ヘアスタイルを変えたり、髪の色を変えたりするような何気ない日常は、平和じゃないと楽しめないんだ」と――。【菅野蘭】

<これが唯一残ったもの>

 3月10日深夜、ウクライナ南東部の街、マリウポリ。ウォロディミル・ニコラシチェンコさん(42)の自宅をロシア軍のミサイルが襲った。当時、自宅には妻や親族の8人がいた。「自分と家族を守るのに精いっぱいだった」。幸い全員の命は助かったものの、家やガレージ、3台の車の全てが炎に包まれた。

 それから2日後。攻撃から避難しながら、焼け落ちた自宅の様子を見に行った。がれきの中から見つけ出したのは、焼けた1丁のハサミ。スマートフォンで撮影し、インスタグラムに投稿した。<これが私のバーバーショップで唯一残ったものです>。タイトルにはこう記した。<ミズタニのハサミ マリウポリ>

 ニコラシチェンコさんは生まれ育ったマリウポリで2018年に理容店「オールドスクールバーバーズ」を開業した理容師だ。クラシックなバーバースタイルが売りで、ビンテージの品や顧客からもらった世界各国からのプレゼントで店内を飾るなど、心血を注いできた自慢の店だった。髪を切るだけでなく、同業者にも技術を教え、着実にキャリアを重ねていた。

 そんな満ち足りていた生活は2月24日に一変した。…

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【ウクライナ侵攻】

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