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三菱電機の検査不正問題で、同社の外部調査委員会は5月25日に3回目の調査報告書を公表し、新たに101件の検査不正が明らかになった。発覚した不正は最長で約50年前から続き、計148件に上る。ガバナンス(企業統治)のスペシャリストで、企業不祥事を巡る「第三者委員会」の評価・格付けを手掛ける青山学院大の八田進二名誉教授(会計監査論)は、今回の報告書が「かえって企業価値を毀損(きそん)している」と指摘する。その理由は何か?【中島昭浩】
報告書に新味なく、時間とお金の無駄
――2021年6月に鉄道車両向け空調機器の検査不正が発覚して以降、三菱電機の調査委が報告書を公表するのは3回目です。今回の報告書についてどう評価しますか。
◆過去2回の報告書と内容はほとんど変わってない。共通するのは16~18年度に実施した自社調査から漏れていた検査不正が見つかったこと。調査範囲を広げたので、隠れていた不正が露呈したに過ぎないのです。不正の原因や背景は「顧客と契約した仕様や規格と少し違うが、品質や性能に問題はなかった」と過去の報告書とほぼ同じ指摘を繰り返すだけで、特に新しい知見や気づきはありませんでした。不正に対してやましい気持ちがなかったことは、これまでの報告書からも明らかです。
三つの報告書は計746ページに上ります。しかし、ページ数が膨大な割に同じ表現が多いのは、調査委が莫大(ばくだい)な報酬を得るために多数の調査補助者を投入して時間をかけ、「これだけ調査しました」という実績を示したいだけのように見えてしまう。かえって企業価値を毀損しているのではないでしょうか。
――調査の問題点は何でしょうか。
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