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2021年7月に静岡県熱海市伊豆山地区を襲った土石流の真相究明を目指す市議会百条委員会の第3回証人尋問が14日開かれる。崩落地点を含む土地の前・現所有者らのこれまでの証言で判明した事実や、残った疑問点を検証する。【太田圭介、長沢英次】
証人尋問で逢初(あいぞめ)川源頭部への盛り土に対する認識と、盛り土の施工過程に注目が集まった。5月12日の第2回証人尋問で前・現所有者らは土石流で崩落した盛り土を巡り相いれない主張を展開した。
前所有者は「自分が土地を貸した神奈川県の建設業者が盛り土を造成した。現場責任者は山梨県の建設業者」と証言した上で「(業者に)アドバイスはする」と一定の関与を認めた。だが、県土採取等規制条例の上限(高さ15メートル)を大幅に超え、高さ約50メートルに達した盛り土の指示は否定した。
現所有者は、盛り土への関与を否定しただけでなく、盛り土の存在すら「認識がない」と言い切った。現所有者の元代理人が3月18日の参考人質疑で「現所有者は(源頭部周辺の土地に)瑕疵があったと認識していた」と発言したが、これを真っ向から否定した。
第2回証人尋問では、盛り土を造成したとされる建設業者らへの尋問もあった。前所有者に「盛り土の実行役」と名指しされた神奈川県の建設業者は「前所有者の指示で盛り土の一部を造成した」と認めつつも、「自分が現場を去った2010年7月以降も山梨県の建設業者らが土砂搬入を続けた」と証言。対する山梨県の建設業者は「10年7月には、崩壊した盛り土とほぼ同量の土が盛られていた」と反論し、盛り土造成の「主導役」の特定には至らなかった。
食い違う証言に疑問
土石流被害を拡大させた盛り土の危険性への認識と、防災工事の施工状況なども証人尋問の焦点となった。これらの点を巡っても、各証人は相いれない主張を繰り返した。
前所有者は、土地を売却した11年2月ごろの源頭部について「防災工事は完了して現場は安定しており、(土砂)崩落の危険はなかった」と説明した。「熱海市役所からも『(防災工事の)完成届が出せる状態』と言われた」と明かし、災害発生リスクは存在しなかったと述べた。
現所有者は、盛り土の存在への「認識がない」ため「防災工事そのものへの認識もなかった」と証言。土地売買に際し前所有者と取り交わした書類には防災工事の必要性に言及した記述があるが、「契約は仲介業者に任せていた。書類も見たことがない」とした。
これに異を唱えたのが、…
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