「AV新法」賛否割れる 議論尽くされたか

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AV新法に反対する集会で掲げられたプラカード。参加者の多くが「性暴力に反対」を表す紫色の風船を手にしていた=東京都新宿区で2022年5月22日、宇多川はるか撮影
AV新法に反対する集会で掲げられたプラカード。参加者の多くが「性暴力に反対」を表す紫色の風船を手にしていた=東京都新宿区で2022年5月22日、宇多川はるか撮影

 アダルトビデオ(AV)の出演被害防止・救済に向けた法案は衆院本会議を全会一致で通過し、参院に送られた。新法案を巡っては、性暴力や性的搾取の撲滅という共通の目的で活動してきた支援者、弁護士らの間でも、意見は大きく割れた。被害救済を初めて明文化することに「画期的」と評価する声もあれば、売春防止法が禁止する「(金銭授受を伴う)性交を合法化するのでは」という懸念の声も上がった。議論は尽くされているか――。【宇多川はるか】

新法案の内容は

 超党派議員が5月13日にまとめた「AV出演被害防止・救済法案」(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g20805043.htm)は、年齢・性別を問わず、AV公表後1年間(法施行後2年間に限り2年間)は無条件に契約を解除できるなどとする内容で、業者には商品回収や動画削除などの原状回復義務を課す。また、原則として「出演者に対し性行為を強制してはならない」と明記し、契約の不実告知には3年以下の懲役刑も盛り込んだ。新法が成立すればAVに特化した初の法律となる。

発端は「未成年者取り消し権」問題

 新法の発端は、4月の改正民法施行で、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことだった。民法では、未成年者が親らの同意なく契約を結んだ場合は、原則として契約を取り消せる「未成年者取り消し権」が規定されている。しかし、新たに成人になった高校生を含む18、19歳は対象外になる。AV出演被害者らを支援する団体や弁護士が、この若年層をターゲットにしたAV出演を巡る被害が増加すると与野党議員に対策を求めたことから、議論が本格化した。

新法案まとまる直前、6団体が要望書を提出

 その結果として4月末にいったん固まった新法の骨子案は、「未成年者取り消し権」を復活させるものではなく、年齢を問わずに無条件に契約解除できる期間などを定めたものだった。そして、新たな論点となったのが、AVの定義に「性交」を含む性行為が明示された点だ。

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