炭鉱の記憶、守りたい 「日本遺産」認定、独特の風景 施設保存、自治体が苦慮 /北海道

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旧住友赤平炭鉱の「立坑櫓」=北海道赤平市で4月(同市提供)
旧住友赤平炭鉱の「立坑櫓」=北海道赤平市で4月(同市提供)

 道の旧産炭地の自治体が、炭鉱関連施設の保存に頭を悩ませている。2019年には文化財を観光振興に生かす「日本遺産」に認定され、独特の風景は往時を知らない若者にも人気。自治体は活用を目指すが、老朽化が進む施設の保全は予算も方法もめどが立たない。

 「地道に見守るしかない。病人を介護しているようだ」。赤平市教育委員会の井上博登学芸員(44)は話す。旧住友赤平炭鉱の高さ約40メートルにもなる石炭採掘拠点「立坑櫓」は市のランドマーク。石炭を運び出すトロッコや、炭鉱マンを地底に送り込むエレベーターのほか、運転室には閉山した1994年のカレンダーが残る。

 最大で年約190万トンもの石炭が生産された立坑櫓および関連施設の床面積は約3000平方メートル。多くの箇所で雨漏りがあり、外壁のモルタルが剥落するなど傷みが激しい。日本遺産の構成文化財に認定されたが、大規模改修を補助する枠組みはない。「ちゃんと中を見られるのは全国でも他にないのではないか。なんとか長く維持してほしい」と、約25年勤め、今はガイドの三上秀雄さん(72)は願う。

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