ブラジルの名門とイングランドの無名 知られざるクラブの交流史
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サッカー王国ブラジルの名門クラブと、サッカーの母国イングランドの無名クラブ。知られざる交流の歴史をひもとくドキュメンタリー映画「Brothers in Football ―100年越しの再試合―」(2018年公開)が4日、ヨコハマ・フットボール映画祭で上映された。
監督は元選手のクリス・ワトニーさん(41)。「フットボールには世界をつなぐ力がある。100年以上前、この美しいスポーツを世界に広め、未来に伝えた彼らのことを忘れないでほしい」と語る。
物語の舞台は、ロンドン郊外のトルワース。この地区を本拠地とするクラブ、コリンシアン・カジュアルズは最上位のイングランド・プレミアリーグから数えて7部(映画制作時は8部)に当たるリーグに所属している。経営陣から監督、選手に至るまで全員が無報酬のアマチュアクラブだ。GKは教師、主将は内装業といったように平日はそれぞれ仕事をし、週末にサッカーを楽しむ。ワトニーさんもそんな選手の一人。毎年のように資金繰りに苦しむクラブだが、他にはない誇るべき歴史があった。
前身のクラブ、コリンシアンが創設されたのは1882年。強豪スコットランドに対抗するため、イングランド・サッカー協会(FA)がトップ選手を集めて結成した。19世紀末から20世紀初頭にかけて、クラブは世界各地を遠征。当時はまだプロは少なく、コリンシアンはフェアプレーを重んじるアマチュアクラブのお手本だった。ワトニーさんの言葉を借りれば、コリンシアンは当時の「世界最強」で「フットボールを世界に広めた」。
実際、彼らの足跡は世界各地に残る。コリンシアンがブラジルに遠征し、その華麗なパスサッカーに魅了されたサンパウロの鉄道労働者5人が1910年にクラブを作った。名称はコリンシアンをポルトガル語読みにして「S」をつけ…
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