
プロ野球・ロッテの佐々木朗希投手(20)が史上最年少で、完全試合を達成した。若者の素質や才能を見抜いて大切に育てる指導は、成果主義が強まる風潮の中、スポーツの枠を越えて社会的な関心を呼んだ。目先の勝利にとらわれず、将来を見据えた育成は広がっていくのか。佐々木投手の快挙に見る、今後の人材育成とは。
体の成長途上、じっくり計画 吉井理人 元プロ野球・ロッテ投手コーチ
佐々木朗希投手のロッテ入団から2年間、投手コーチとして付き添った。私が初めて彼を見た時の印象は「こいつが完投するイメージが湧かへん」だった。190センチの長身に対して体つきは細く、見た目の「ひ弱さ」の割には、すでに160キロを超える球を投げていたように出力が高いので、「3球ぐらい投げたらぶっ壊れるのでは」と思うくらい恐怖感があった。
朗希はまだ身長も骨も腱(けん)も、全てが成長していた。体つきが変われば感覚も日々変わるし、あまりきついことはさせられない。「じっくりいかないといけないかな」と思った。
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