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茨城、群馬、栃木の北関東3県で、農地を耕すための農業用トラクターの盗難が後を絶たない。2021年に認知された被害件数は計120件で全国の約半数に上り、今年も1~4月の件数は3県が全国ワースト3を占める。なぜ北関東でトラクターが狙われるのか。取材を進めると、3県に共通する事情が浮かんできた。【長屋美乃里、宮崎隆】
「ちょっとぐらい置いておいても、平気だと高をくくっていた」。茨城県西部の筑西市で農業法人を営む男性(77)は、そう話すとうなだれた。男性は19年8月下旬、農業用トラクター1台(時価約670万円相当)を盗まれた。従業員らと使う7台のトラクターは、普段なら夕方に自宅へ乗って帰るか、鍵の掛かる倉庫内に保管するか。しかし、その日は稲刈りとそば畑の耕運が重なる農繁期という事情もあり、1台を農地に駐車したまま帰宅した。
被害に気がついたのは翌早朝。エンジンキーは抜いていたはずだが、土を耕すロータリー(同約80万円相当)ごとトラクターは消えていた。加入する農協の共済の支払いを申請したが、無施錠の場所に置いていた過失を問われ、満額は支払われなかった。新車の購入費用のうち、300万円超が自己負担。男性は「その前にも、知り合いが一晩に6~7台を盗まれていた。窃盗があると知っていたのに」と悔やむ。
茨城県警の集計では、トラクターなど特殊自動車の盗難は20年に全国で計222件、21年は計259件を認知。このうち、20年は茨城が50件で全国最多、栃木が23件で2位、群馬は18件で4位だった。21年も茨城64件、栃木34件、群馬22件で順位はそのままだ。さらに、今年は統計のある1~4月に限れば、茨城16件、群馬8件、栃木5件とワースト1~3位を独占する。
警察幹部は理由について…
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