「ここからが貴重な人生」 福島・葛尾村の避難指示一部解除
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新たな始まりの日は、朝から土砂降りの雨だった。福島県葛尾(かつらお)村の一部で12日、東京電力福島第1原発事故を受けた避難指示が解除された。立ち入りが厳しく制限されている帰還困難区域に、人が住めるようになるのは初めてだ。ただ、対象は除染を優先的に進めた特定復興再生拠点区域(復興拠点)と呼ばれる地域だけで、古里に戻れる人も一部にとどまりそうだ。原発事故から11年3カ月。村の人たちは、どんな思いでこの日を迎えたのだろうか。
「ゲート開放」。午前8時に内閣府の男性が宣言すると、村の中心部と村内の野行(のゆき)地区を結ぶ道路を塞いでいたゲートが撤去された。駆けつけた報道関係者が一斉にカメラのシャッターを切る。撤去された看板には「この先 帰還困難区域につき 通行止め」と記されている。激しい雨に阿武隈山地の新緑もかすむ。
ほどなく、ゲートの前で待機していたパトカーや消防車が次々と走り出す。パトロールのためという。立ち会った篠木弘村長は「一つの区切りだ。これからがスタート。村民に寄り添いながら復興に取り組みたい」と、ホッとしたような表情で語った。
避難指示の解除前から、住民たちは手続きを取れば「準備宿泊」や一時立ち入りをすることができていた。この日の避難指示解除で手続きは不要になる。
「せっかくの解除日だけど、すごい雨だな」。兼業農家の半沢富二雄さん(69)は午前8時ごろ、自宅の前で空を見上げた。…
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