子ども政策の司令塔?看板の掛け替え? 「こども家庭庁」課題は

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写真はイメージ=ゲッティ
写真はイメージ=ゲッティ

 子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」設置法案と、「こども基本法」案が15日の国会で可決・成立する見通しとなった。こども家庭庁の設置は、少子化対策を重視する岸田文雄首相の看板政策。参院選を控え、国会最終日に滑り込みで間に合った。ただ、肝心の財源や具体的な陣容などの検討はこれから。「中身」の具体化が今後の課題になる。【小鍜冶孝志、深津誠】

深入り避ける財源論議

 「省庁縦割りを打破し、今後はこども家庭庁が司令塔となり、子どもを真ん中に据えた社会を実現する。子ども予算の倍増に向けた取り組みを進める」。岸田首相は8日公開のビデオメッセージで「予算倍増」を宣言した。ただ、その達成時期について国会で野党に問われると、「期限を区切ってはいない」とあいまいな答弁に終始した。

 7日に閣議決定された経済財政運営の指針「骨太の方針」でも、子ども政策の安定財源について「社会全体での費用負担の在り方を含め幅広く検討を進める」との表現にとどまった。参院選を1カ月後に控え、こども家庭庁の設置は子育て世代へのアピール材料になる一方、負担増をイメージさせる財源論議には深入りしたくない思惑が透けて見える。

 日本の子ども関連予算(約9兆円)は欧州と比較し、低水準と指摘される。2021年度の少子化社会対策白書によると、家族関係社会支出に関する日本の対国内総生産(GDP)比は1・65%(18年度)。スウェーデン(17年度3・42%)や英国(同3・19%)と比べると、半分程度にとどまる。

再浮上なるか「こども保険」

 財源の一つとして、浮上する可能性があるのが「こども保険構想」。既存の社会保険料に、現役世代や事業主から保険料を上乗せして集め、子ども政策の財源とする考え方だ。

 政府…

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