知的障害の受刑者 出所後見据え支援、官民で 長崎でモデル事業

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長崎刑務所で知的障害受刑者向けのモデル事業を実施すると表明した古川禎久法相=東京都内で2022年6月14日午前10時30分、山本将克撮影 拡大
長崎刑務所で知的障害受刑者向けのモデル事業を実施すると表明した古川禎久法相=東京都内で2022年6月14日午前10時30分、山本将克撮影

 知的障害がある受刑者の立ち直りと社会復帰を支援するため、法務省は14日、社会福祉法人と連携したモデル事業を長崎刑務所(長崎県諫早市)で始めると明らかにした。民間のノウハウを取り入れ、個々の知的障害受刑者の特性に合わせた処遇を行うもので、初の試み。年内に開始し、効果を検証した上で全国の刑務所に広げたい考えだ。

 同省が2020年に実施した調査では、知的障害があったり、その可能性があったりする受刑者は全国で1345人(全受刑者の3・4%)。このうち、自治体などから支援を受けられる「療育手帳」を取得済みの受刑者は約3割に当たる414人にとどまった。

 万引きなどの犯罪を繰り返す「累犯」に関する近年の調査では、刑務所入所者のうち5回以上の入所となった人の割合は20・4%だったが、知的障害者に限定すると26・5%だったというデータもある。同省は、刑務所内で必要な支援を受けられないまま社会に戻り、再犯を繰り返す知的障害者もいるとみて、今回のモデル事業の実施を決めた。

 事業は、累犯障害者の支援で先進的に取り組む地元の社会福祉法人「南高愛隣会」と長崎刑務所が協力して行う。九州各県から約50人の知的障害受刑者を同刑務所に集め、出所後の就労を見据えた刑務作業の実施や改善指導を試みる。また、療育手帳を所持していない受刑者が手帳を取得できるよう後押しし、出所後に福祉的支援が必要な場合も事前調整する。

 国会では13日に改正刑法が成立し、受刑者の特性に応じた処遇を進めて更生を図る「拘禁刑」の創設が決まった。古川禎久法相は14日の閣議後記者会見で、「知的障害のある受刑者の再犯を防ぐため、(刑務所の)在所中から出所後まで、一貫性ある息の長い処遇と支援を行う。事業の検証をして更なる展開を検討したい」と述べた。【山本将克】

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