イーロン・マスクがツイッターで目指す「言論の自由」とは?
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米短文投稿サイトのツイッターの買収に動く米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、ツイッターで「言論の自由」を徹底すると公約している。マスク氏の買収でツイッターの投稿規制はどう変わるのだろうか。中傷やデマが野放しとなる「無法地帯」になるリスクは? そして、ツイッターのアカウントを永久凍結された前米大統領が復帰する可能性は?
ツイッターは「公共のデジタル広場」
「言論の自由は民主主義の要で、ツイッターは人類の未来に重要な問題が議論されるデジタルの広場だ」。ツイッターを総額約440億ドル(当時のレートで約5・7兆円)で買収することで合意したマスク氏は4月25日、このような声明を発表した。
マスク氏が具体的に何がしたいのか、この声明からは読み取りにくい。
9700万人超のフォロワーを抱え、「デジタル広場」をフル活用しているマスク氏。別の投稿では「法を超えた検閲には反対」と、ネット交流サービス(SNS)大手が不適切な投稿への規制を強める流れに反発している。
プラットフォーマー規制に詳しい慶応大法科大学院の山本龍彦教授は、マスク氏の考えについて「規制を弱めることでツイッターを多様な人が参加し、言論を戦わせる空間にすべきだと考えているのでは。(自由を重視し、規制に否定的な)米国では伝統的な考え方といえる」と分析する。
「投稿規制」か「検閲」か
マスク氏が毛嫌いする投稿規制だが、そもそもSNS各社が規制を強化してきたのには理由がある。
SNSの普及に伴って社会的な影響力が大きくなる一方、いじめや差別、デマなど不適切な投稿が社会問題化した。世界最大のSNS、フェイスブックを巡っては、英データ分析会社のケンブリッジ・アナリティカに最大8700万人の個人情報が流出し、2016年大統領選で誤情報の拡散に悪用される不祥事が発生。SNSが一国の社会や政治を揺るがす危険性を持つことが明らかになった。
こうした流れを背景に、ツイッターは他のSNS大手に先駆けて投稿規制を強化してきた。
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