東日本大震災

原発避難者訴訟 裁判官個別意見 要旨

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 <菅野博之裁判長の補足意見>

 国策として原発事業が行われてきた以上、福島第1原発事故のような大規模災害が生じた場合、電力会社以上に国がその結果を引き受けるべきであり、本来は国が過失の有無に関係なく被害者救済に最大の責任を担うべきだ。

 しかし、国家賠償法上の判断は、被災者救済とは異なる問題だ。現在は、津波への対応として防潮堤に頼るだけでなく、施設の「水密化」といった多重的な防護を検討するなどの取り組みがされている。これらは原発事故を教訓として、規制レベルや技術水準が発展してきたものであり、事故以前は防潮堤などによる浸水防止が適正な技術水準だった。事故以前には、主たる津波対策として採用されていなかった防護措置を想定し、それを講じていれば事故は防げたから、賠償責任が認められるという判断を導くことは相当でない。

 国家賠償責任が認められない原因は端的に言えば、東日本大震災があまりに大きな地震であり、津波があまりに大きかったためで、長期評価を前提に行動したとしても、事故を回避できたと判断するには無理が大きすぎる。

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