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<活字を楽しむ>
(校條剛著 イースト新書、860円(税抜き))
本書は、京都市内で誰もが目にしたことがあるスーパーマーケット「FRESCO」の真実について迫った一冊――ではない。東京で生まれ、新潮社の「小説新潮」編集長も務めた「東京人」である著者が、定年退職後に京都市内の私立芸大に教授として赴任し、4年間を過ごした京都の街についてつづった文化エッセーだ。
なぜスーパーの話から書き出したかというと、本書の構成もまさにそうなっているからだ。はじめに、という書き出しからマルクスとエンゲルスによる「共産党宣言」の一行を紹介しながら、京都の街で目に飛び込む「FRESCO」から受けた驚きを伝えている。衣食住の観点にとどまらず、文芸雑誌編集者や大学教授の視点からも京都と「京都人」の気風についてテンポよくつづる。そこに共通するのは、「よそさん」が京都を外から見た…
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