内山正之さん＝大阪で出版20年「めっちゃおもろいやん」

内山正之（うちやま・まさゆき）さん（63）

　「めっちゃおもろいやん。みんなに言いたい！」。そんな事象や人物に出会った瞬間、本作りがスタートする。その土地に暮らす人たちの息遣いが宿る「本籍地のある本」をテーマに、大阪府吹田市で西日本出版社を創業して20年。出版社が集中する東京ではない場所こその「目線」にこだわる。「さまざまな目線が（社会の）多様性につながると思います」

　奈良少年刑務所の写真集や讃岐うどん食べ歩きの指南書、黒糖焼酎を造る奄美群島全25蔵の紹介本など、扱ってきたネタは西日本がほとんど。大阪のたこ焼き巡りの本では、著者と100軒以上を食べ歩いた。「生地も味もこんなにバリエーションがあるのか」と驚いた。奈良の金峯山寺や興福寺の僧侶が寺の日常をつづるエッセー集は、若い僧侶たちの交流会に顔を出したのが縁で生まれた。