- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
太陽表面の爆発現象が地球に及ぼす「宇宙天気」が社会基盤に重大な影響を与えるとして、総務省の検討会は21日、警報などの宇宙天気予報を導入して企業や行政に注意や対策を促すなどとした報告書をまとめた。太陽活動の次のピークは2025年と予測され、官民による対策強化が急がれる。
報告書によると、激しい太陽活動など100年に1回程度起きるような荒れた宇宙天気になると、通信・放送が2週間、断続的に途絶える▽人工衛星による測位の精度に最大で数十メートルのずれが生じる▽航空機や船舶の運航の見合わせが多発する▽機器の損傷や誤作動で広域停電が生じる――と推測した。
そこで、宇宙天気による災害を災害対策法制に組み込み、国全体で取り組む必要があると指摘。どのような影響が生じるかを正確に予測するため、観測網や国際連携を強化するとともに、被害軽減のための警報の発表などの体制整備も求めた。
今後は情報通信研究機構を中心に、①通信・放送②測位③電力④航空機人体被ばく⑤衛星の5分野で、注意報や警報の基準づくりを本格化させ、年度内にも運用を始めたい考えだ。
宇宙天気に伴う過去の被害として、1989年にカナダで約600万人が影響を受けた大規模停電、今年2月に米スペースX社の人工衛星40基の軌道が乱れて消失――などが知られている。【田中泰義】