「見えないコロナ」下水で探る 変異株にもアンテナ

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汚水ますのふたを開ける下水の検体採取業者=2022年6月1日午前11時1分、寺町六花撮影
汚水ますのふたを開ける下水の検体採取業者=2022年6月1日午前11時1分、寺町六花撮影

 流行の広がりが見えづらい新型コロナウイルスの感染の実態を捉えようと、下水に注目する研究者たちがいる。下水に含まれるウイルスを調べれば、地域や施設に無症状者が紛れていても、感染者の有無を判別できるからだ。臭いを気にしながら、調査の現場を取材させてもらった。

 詳しい場所は明かさないとの条件で、首都圏のあるオフィスビルに向かった。人々が行き交う、きれいなビルの自動ドアのすぐ脇に汚水が集まる「ます」があった。検体採取の委託業者がふたを開けると、濁った水が地下を勢いよく流れていた。ふたの裏に取り付けたワイヤに脱脂綿をくくりつけ、数日間放置した後に回収する。作業は短時間で、臭いが周囲に広がる間もほとんどないことが意外だった。

 PCR検査にかければ、数時間で結果が判明する。陽性なら利用者に感染者がいる可能性が高い。不動産大手の三井不動産は、同社が管理する施設で感染拡大を防ごうと、2021年春から首都圏の2カ所でこうした下水調査を実験的に行ってきた。同社は商業施設や高齢者施設など導入施設の拡大を検討しているという。

 集団を調べる方が一人一人を検査するよりも効率的だ。下水調査が秘める可能性を感じた。

感染の指標の一つに

 「見えない感染を『見える化』できる」。いち早く下水に着目した研究者の北島正章・北海道大准教授(環境ウイルス学)は力を込める。これまでもノロウイルスなど下水中のウイルスを研究してきた。

 新型コロナに感染していても、無症状のため検査を受けないままの人も多く、これまでは感染拡大の兆候をつかむのが難しかった。そこで北島准教授は、感染者の便から排出されたウイルスが流れ込む下水に注目した。

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