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新観光支援策、素っ気ない名称のワケ 「ワクワク」に懲りて…?

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京都の観光地・嵐山の渡月橋で記念撮影する観光客=京都市右京区で2022年3月22日午後1時11分、梅田麻衣子撮影 拡大
京都の観光地・嵐山の渡月橋で記念撮影する観光客=京都市右京区で2022年3月22日午後1時11分、梅田麻衣子撮影

 「全国を対象とした観光需要喚起策」。政府が7月から始める新たな観光支援事業の名前だ。国土交通省は略称として「全国旅行支援」などを提案するが、「GoToトラベル」「県民割」のような呼びやすさはない。なぜ、素っ気ない名称なのか。背景には、ある政策の“失敗”があった。

 新事業は、県民割と同じく都道府県が住民の旅行代金を支援する制度。旅行先として全国が対象となり支援額も増えるのが違いだが、実質的には県民割を拡大したものといえる。しかし政府は、対象が全国なうえに新型コロナウイルス感染拡大時の対応が異なるなどとして、「県民割と全く違う」(斉藤鉄夫国交相)と説明。GoToトラベル、県民割に次ぐ「第3の制度」と位置付け、新たな名称を付けた。

「GoToトラベル」をアピールするポスター=東京都中央区で2020年12月19日、長谷川直亮撮影 拡大
「GoToトラベル」をアピールするポスター=東京都中央区で2020年12月19日、長谷川直亮撮影

 観光業界では事業自体への期待は高まっているが、「県民割という呼び名は制度の趣旨が分かりやすかったが、今回の名称は少しかたい。県民割が定着していただけに新制度が浸透するか不安だ」(大手旅行会社)といった声が上がっている。別の旅行会社は「政府が正式に略称を示せばそれに従うことになるが、略称が広く定着しなければ利用者が混乱する可能性がある」と懸念する。

 新事業がかたい名称になった背景には、「イベントワクワク割」の失敗があるとみられる。ワクチン接種者を対象にイベントの料金を割り引く事業でワクチンにかけた名称だが、ネット交流サービス(SNS)などで「センスがない」といった批判が噴出。事業開始のめどが立たないままになっている。

 ある政府関係者は、今回の事業の検討段階で「『ワクワク』という名称だけは使わない」と言明。そんな政府内の雰囲気を受け、国交省は「名称で批判されないようシンプルにした」(幹部)と明かす。

 ただ、国交省内でも「分かりにくいので、もうちょっと簡単な名前をという話があった」(和田浩一観光庁長官)という。そのため、「例えば『全国旅行支援』といった言葉で表現してもらうと新しさが出て良いのでは」(担当者)と提案している。

 県民割も、正式名称は「地域観光事業支援」だが、実施主体である各都道府県が「○○県民割」などとしたことから県民割という略称が定着した。

 批判されるリスクを避けた結果、行政用語そのままのような名称になった今回の新事業。果たしてどのような呼び名で定着するのか。【井川諒太郎】

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