ロシア念頭に「核の威嚇」を非難 核兵器禁止条約会議、閉幕へ

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23日に閉幕する核兵器禁止条約の第1回締約国会議=ウィーンで2022年6月21日、隅俊之撮影 拡大
23日に閉幕する核兵器禁止条約の第1回締約国会議=ウィーンで2022年6月21日、隅俊之撮影

 ウィーンで開かれていた核兵器禁止条約の第1回締約国会議は23日、3日間の日程を終え、閉幕した。核兵器を「人類の存亡に深刻な影響を与える」ものと強調する政治宣言と締約国の今後の方針をまとめた50項目の「ウィーン行動計画」を採択した。条約への支持拡大を目指し、「核兵器なき世界」の実現を広く訴えた。

 宣言のタイトルは「核兵器なき世界への誓約」。草案では「核兵器による壊滅的な結末は、人類の存亡に深刻な影響を与える」と表現している。ウクライナに侵攻したロシアを念頭に「核兵器を使用するとの威嚇やますます激しくなる核についての言説を警戒し、落胆している」と明記し、「いかなる形での核の威嚇も非難する」と記す。

 複数の軍縮外交筋によると、宣言の中でロシアを名指しすることに同国と良好な関係を持つベネズエラや南アフリカ、キューバなどが反対し、当初の草案から削除された。その後もウクライナ侵攻を示唆する「最近の出来事」という表現が残っていたが、最終的な調整を経て、そのくだりも削除された。

 また、核保有国や「核の傘」の下にある国が核抑止力に頼り、その依存を減らすための「真剣な措置」をとっていないことに懸念を表明。すべての国に条約参加を呼びかけている。

 一方、行動計画は、条約の署名・批准国を増やす方策▽核兵器使用や核実験による被害者の支援、環境修復▽核拡散防止条約(NPT)など核軍縮・不拡散体制における核禁条約の位置づけ――などからなる。

23日に閉幕する核兵器禁止条約の第1回締約国会議=ウィーンで2022年6月21日、隅俊之撮影 拡大
23日に閉幕する核兵器禁止条約の第1回締約国会議=ウィーンで2022年6月21日、隅俊之撮影

 具体的には、条約の署名・批准国を増やすために締約国が60日以内に担当者を任命する▽核兵器の廃棄・撤去を検証する国際機関や核実験被害者らの支援のための国際信託基金の設立を検討する▽核兵器のもたらす人道的影響などを含めた幅広い分野から助言する専門家グループを設立する▽NPTと核禁条約の補完性を強化するために調整役を指名する――を挙げた。

 また、締約国会議では22日、核保有国が核兵器を保有したまま核禁条約に加盟した場合、10年以内に核兵器を廃棄しなければならないと決めた。北大西洋条約機構(NATO)の一部加盟国のように自国内に他国の核兵器を配備している場合は撤去期限を90日とすることでも合意した。

 核禁条約は核兵器の保有や使用、核兵器による威嚇などを全面的に禁止している。核保有国や米国の「核の傘」の下にある日本などは不参加。2017年7月に国連で加盟国の6割を超える122カ国・地域の賛成で採択され、21年1月に発効した。批准は23日現在で65カ国・地域。

 国連の中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)は22日の記者会見で、「核兵器が使われるリスクは冷戦時代のピーク時以来、どの時期よりも高い」と警告。「核禁条約は幅広い核軍縮・核不拡散体制を補完するものだ」と強調し、今回の締約国会議が8月に開かれるNPTの再検討会議に「積極的な貢献」を与えることに期待を示した。【ウィーン隅俊之】

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