「60年たって、なぜまた映画に」 間宮祥太朗さんが問う差別

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映画「破戒」に主演する俳優の間宮祥太朗さん。差別に真正面から向き合った=東京都中央区で2022年6月19日、宮武祐希撮影
映画「破戒」に主演する俳優の間宮祥太朗さん。差別に真正面から向き合った=東京都中央区で2022年6月19日、宮武祐希撮影

 「60年たって、なぜまた映画にするんだろう」。俳優の間宮祥太朗さん(29)は、映画「破戒」への出演を依頼され、こう感じたという。今なお続く差別を真正面から描くことへの疑問にも向き合い、「差別というものを肌で感じられる」ように仕上がったと話す。人の心を傷つける問題が次々と起きる現代。役作りや演技を通じて、新しい作品を届ける意義を見いだした。

 原作は1906年に出版された島崎藤村の小説。48年に木下恵介監督、62年に市川崑監督と、巨匠が既に映画にしている。間宮さんは60年ぶりに映画化する理由を探りながら、原作や脚本を読み込むことから始めた。

 間宮さん演じる主人公の瀬川丑松(うしまつ)は明治時代後期、信州の被差別部落で生まれた。幼い頃、父から「素性を隠し通せ」と強く戒められ、地元を離れて小学校の教員として働いている。友人の銀之助(矢本悠馬さん)や好意を抱く士族出身の女性、志保(石井杏奈さん)にも本当のことを言えずにいた。人間の尊厳を説く思想家と出会い、丑松は影響を受ける。

さわやかな恋にも身分の差

 ある宿で被差別部落出身であると知られた客が追い出されて石を投げつけられたり、丑松の目の前で同僚らが差別的な言葉を使ったりと、あからさまに描かれる場面がある。一方、志保との恋模様はプラトニックでさわやかだ。…

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