最高裁の中絶禁止容認、米国社会に衝撃 各州の分極、助長必至
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米連邦最高裁が24日、州が人工妊娠中絶を禁止・制限することを認める判断を下した。女性が中絶を選ぶ権利を認めた判例が49年ぶりに覆されたことは、米国の社会や政治に衝撃を与えている。【ワシントン秋山信一、西田進一郎】
憲法解釈否定、司法闘争活発化か
「中絶禁止の判決は不当だ」。ワシントンの最高裁前では24日の判決直後から、人工妊娠中絶の容認派が集まってシュプレヒコールを上げた。
中絶の権利擁護のイメージカラーである緑色のスカーフなどを身につけた女性が目立ち、リーダー役が「希望に応じた中絶が、全米で合法的にできるようになるまで闘おう」と呼びかけると、ひときわ大きな声が上がった。プラカードを掲げていたコンサルタントのソフィ・ハーシャーさん(32)は「信じられない判決だ。たくさんの女性が自分の体のことを自分で決めるという基本的な権利を行使できなくなるのだから」と表情をゆがませた。
すぐ隣では、中絶禁止を訴えていた女性たちが抱き合って「勝訴」を祝っていた。中絶反対を意味する「Pro Life(プロライフ)」の赤いシャツを着て喜んでいたノートルダム大の学生、メルロ・フォガーティーさん(19)は「多くの州で中絶と称して赤ちゃんが殺されることがなくなった。女性が中絶を選択する必要がないように活動していく」と語った。
国論を二分する中絶を巡っては、今回の判決前から州によって対応が異なっていた。米CNNによると、全米50州のうち、…
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