コスパ悪=不正解? 石田衣良さんが若い人に耳打ちしたいこと

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石田衣良さん=東京都千代田区で2019年2月28日、根岸基弘撮影
石田衣良さん=東京都千代田区で2019年2月28日、根岸基弘撮影

 若い世代が今、重視するのが「コストパフォーマンス」(費用対効果)や「タイムパフォーマンス」(時間効率)の考え方だという。映画やドラマを「倍速視聴」などの早送りで見るスタイルが広がっているのもその一例だ。

 現代社会を生きる若者たちが志向する「コスパ」「タイパ」について、直木賞作家の石田衣良さんに聞いた。【聞き手・大沢瑞季】

 若者はなぜコスパを求めるのか。シリーズ過去2回のインタビューはこちらから読めます。
 第1回 博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所上席研究員の森永真弓さん
 第2回 青山学院大経営学部教授の久保田進彦さん

「いつの時代も変わらない」

――いつごろから、コスパ、タイパという考え方が広がったのでしょうか。

 ◆日本がデフレになってからじゃないですかね。給料が上がらなくなって、お金の大切さを身に染みて感じるようになった。ユニクロや牛丼など、デフレ下の新しいビジネスが盛り上がったのと同時に、コスパの意識が出てきたんじゃないですか。

 逆に言えば、本当にそれだけゆとりがないということ。学生がコスパ・タイパを重視するのは、親からの仕送りが減り、アルバイトで忙しく時間がないからでしょう。

 でも実は、若者が経済的合理性を大事に考えるというのは、いつの時代もそうなんですよね。

 僕たちの時代は、例えばCDや、レコードを手に入れて、それを何回も繰り返し聴いたのは、なかなかお小遣いがなくて買えなかったですからね。1枚のCDを何回も味わうことでコスパを上げていた。

 今、それが映画を早送りで見たり、デフレ商品をうまく利用したりすることになっているだけなんだと思うんですよね。

 だから、よく大人が「いや、自分たちは違う」と言いますけど、今の時代に生まれていれば、まったく同じように行動すると思いますね。コスパやタイパの形やあり方が変わったんですよ。

 なので、映画やドラマはある種、芸術表現だから、「しっかりちゃんと味わえ」というのはちょっと違う気がするんで…

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