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米の利上げ加速と日本 円安と不況連鎖に警戒を

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 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを加速させている。金利の低い円が売られ、さらなる円安につながらないか、政府・日銀は警戒を怠ってはならない。

 FRBは今月、0・75%の利上げを決めた。1994年以来の上げ幅で、今後も金融引き締めを続ける方針を示している。ロシアによるウクライナ侵攻で拍車がかかった「歴史的なインフレ」に対処するためだ。

 投資や消費を抑制することで、物価上昇を抑える狙いがある。基軸通貨ドルを持つ米国の金融政策の変更は、世界の投資マネーの動きに大きな影響を及ぼす。

 まず懸念されるのが、金融市場に混乱が広がることだ。想定以上に大幅な利上げを受けて、日米欧の株価が急落した。新興国から高金利の米国へ、資金が流出するとの観測も強まっている。

 英国やインドも引き締めに動き、欧州中央銀行は11年ぶりに利上げする方針を表明した。各国の相次ぐ利上げで、世界経済が失速する恐れもある。

 世界銀行は、今年の世界経済の成長率見通しを1月時点より1・2ポイント低い2・9%に引き下げた。物価高と景気後退が同時進行する「スタグフレーション」に陥るリスクを指摘している。

 不透明感が高まる中、日本も難しい対応を迫られている。

 日銀は金融緩和を続ける方針だ。新型コロナウイルス禍から回復途上にある経済を下支えするためだという。利上げを急ぐ米国との違いが鮮明になったことで、円相場は24年ぶりの安値をつけた。

 円安の進行はさらなる物価高を招き、消費を冷え込ませかねない。長らくデフレが続いた日本で、賃金が低迷したまま商品の値上げが相次げば、家計への打撃は大きい。日銀は国民生活や経済に与える影響を精査すべきだ。

 参院選では、野党が「これだけ物価高が進んでも、政府・日銀は円安を放置している」と批判し、金融政策のあり方が論点の一つになっている。

 今後、一段の円安も予想されている。政府・日銀には、経済情勢の変化に機動的に対応することが求められる。国民への丁寧な説明も欠かせない。

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