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「中国化」のはざまで

香港国家安全維持法の施行で事実上、ほごにされた1国2制度。当局が進める「中国化」の現場を探ります。

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「中国化」のはざまで

愛国青年育成へアメとムチ 習指導部、若者の「香港人」意識警戒

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中国国旗の掲揚式の練習をする香港の小学生たち=香港で2022年6月14日、ロイター
中国国旗の掲揚式の練習をする香港の小学生たち=香港で2022年6月14日、ロイター

 香港の民主化運動は近年、「香港人」としての意識が強い若年層が主導してきたと言われる。当局が香港国家安全維持法(国安法)の施行後、いち早く愛国教育を始めたのは、中国共産党の指導に逆らわない愛国青年を増やすためだ。さらに中国政府は、経済的な実利によって若者を取り込む施策にも力を入れている。

「私たちは中国人でなく香港人」

 「2019年の抗議活動を経験した私たちの世代は、共産党や香港政府がどんな弾圧をしたかを一生忘れない。愛国心が芽生えることなど決してない」。抗議活動に参加した20代の林さん(仮名)はこう話した。

 林さんは警察に逮捕されるのを恐れ、海外に逃れた。香港での愛国教育について問うと、こう即答した。「私たちは中国人ではなく香港人であり、海外にいても変わらない。香港に残る友人たちも同じ思いだ」

 中国政府が「香港独立の主張につながる」と警戒するのが、この「香港人アイデンティティー」だ。

 民間団体の香港民意研究所は「中国人」か「香港人」かの帰属意識を市民に問う調査の結果を公表している。返還から10年ほどは「香港人」がおおむね5割を超えたが、08年の北京夏季オリンピックの前後は香港でも愛国心が高まり「中国人」が5割を超えることもあった。その後は若い世代を中心に中国に反発を覚える市民が増え、11年以降は「香港人」が常に6割を超える。特に若年層(18~29歳)では近年、「香港人」が9割前後で推移し、デモが大規模化していた19年12月には94・4%を記録した。

親中派、リベラル教育を目の敵に

 中国政府は、若者の中国人意識を高めようと…

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