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関東や九州などが記録的な猛暑に見舞われている。熱中症への警戒が必要だ。
東京の都心では、6月としては初めて3日連続で最高気温が35度以上の猛暑日となった。気象庁はきのう、関東甲信、東海、九州南部が梅雨明けしたとみられると発表した。関東甲信は統計を取り始めてから最も早い。
熱中症で病院に搬送された人が相次いでいる。死亡者も出ている。体が暑さに慣れないうちに気温が急に上昇し、体温を調節する機能がうまく働かなくなる。今が最も危険な時期だ。
暑さや喉の渇きを感じにくい高齢者と、調節機能が十分に発達していない子どもは特に注意が必要だ。こまめに水分を取るなどの基本的な対策を忘れないよう、周囲の目配りが欠かせない。
新型コロナウイルス対策のマスク着用も、高温多湿の環境では体に負担がかかる場合がある。政府は、屋外で人と十分な距離を確保でき、会話をほとんどしない場合は外すよう呼びかけている。
屋内でも熱中症のリスクがあることに変わりはない。国によると、搬送される人の約4割は自宅で発症したケースだという。冷房などを活用してしのぎたい。
猛暑が続く中、電力の需給状況も厳しさを増している。政府は東京電力管内に初めての需給逼迫(ひっぱく)注意報を発令した。3月の福島県沖地震で火力発電所が被災した影響などで、電力の供給余力が低下しているところへ猛暑が追い打ちをかけた。
政府は熱中症を防ぐ観点から、冷房の使用を控えることは求めていない。不要な照明を消したり、冷蔵庫の開け閉めを減らしたりするなどの工夫で、節電に協力することができる。
近年、猛暑が常態化している。熱中症による死者は「災害級の暑さ」といわれた2018年から3年連続で1200人を超え、昨年も約700人が犠牲となった。
今年は、南米ペルー沖の海面水温が平年より低くなるラニーニャ現象も起きている。夏には日本付近が高温になりやすい。今後も厳しい暑さが続く見通しだ。
命を守ることが最優先である。家庭や職場をはじめ、社会全体で対策に知恵を絞っていきたい。