気候変動対策にウクライナ危機が落とす影 各国で化石燃料回帰の動き

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
ドイツ西部プルハイムにある石炭火力発電所。ロシア産天然ガスの供給減によりドイツでは石炭回帰が進む=2022年6月20日、AP共同
ドイツ西部プルハイムにある石炭火力発電所。ロシア産天然ガスの供給減によりドイツでは石炭回帰が進む=2022年6月20日、AP共同

 26日からドイツ南部エルマウで開かれていた主要7カ国首脳会議(G7サミット)。G7ではこれまで、他国に先駆けて厳しい温室効果ガス排出削減目標に合意するなど、世界の気候変動対策をリードする役割が期待されてきた。だが、ウクライナ危機がそのけん引力に影を落としつつある。

 サミットでは、二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電の「段階的廃止」に初めて合意。エネルギーのロシア依存からの脱却を図りながら、気候変動対策を加速させることで一致した。ただし、ドイツや英国が強く合意を求めていた石炭火力廃止の時期については、首脳宣言に盛り込まれなかった。日本は時期を明記することに強く反対し、サミット直前まで首脳宣言への記載を巡る「攻防」が続いていた。

 石炭火力の「廃止」という文言とは裏腹に、ロシア産の天然ガスへの依存度が高かったドイツは、サミット直前の19日、石炭火力発電の利用を増やす緊急措置を発表。他国でも化石燃料への回帰が見られる。東京大学の亀山康子教授(国際関係論)は「ウクライナ危機が長期化すれば、世界全体の気候変動対策にマイナスの影響を及ぼす恐れがある」と指摘する。

 エネルギーの脱ロシア化と気候変動対策の両立に各国が苦心する中、ドイツがこだわったテーマが、…

この記事は有料記事です。

残り669文字(全文1201文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集