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参院選では各党が憲法改正の是非を公約に盛り込んでいる。だが、主張はかみ合っておらず、論戦が深まる気配はない。
毎日新聞の情勢調査では、改憲に前向きな自民、公明、日本維新の会、国民民主の「改憲4党」で、国会での発議に必要な3分の2の議席を確保する可能性がある。
だが、論点は多岐にわたる。改憲勢力内でも、中身について足並みがそろっているわけではない。
自民は9条への自衛隊明記や緊急事態条項の創設など4項目を挙げ「早期に実現する」と記した。安倍政権時にまとめたものだ。
道州制など統治機構改革を掲げてきた維新も、9条改正と緊急事態条項の創設を公約に加え、「議論をリードする」と自民に歩調を合わせる。
一方、与党の公明は自衛隊明記について「検討を進める」と公約に記したものの、山口那津男代表は「明記しなければ(自衛隊が)仕事ができないわけではない」と慎重な姿勢を崩していない。
「論憲」の立場を取る野党第1党の立憲民主は、首相による衆院解散権行使の制約などの観点から「議論を深める」との姿勢だ。自衛隊明記には反対している。
共産党は改憲自体に反対だ。
岸田文雄首相は党首討論会で「中身について一致できる勢力が3分の2集まらないと発議ができない」と述べた。このような状況を踏まえれば当然の発言だ。
ロシアによるウクライナ侵攻で安全保障政策に注目が集まっている。だが、共同通信社の世論調査では、投票の際に重視する政策は「物価高・経済対策」が42%と最も多く、「憲法改正」は3%に過ぎない。
自民の茂木敏充幹事長は「参院選後できるだけ早いタイミング」で発議を目指す考えを示した。
しかし、中身について与野党で合意を形成する努力は尽くされていない。発議に必要な議席数に達したとしても、改憲の内容について民意のお墨付きを得たことにはならない。
条文のどこに問題があり、どう変える必要があるのか。変えずに対応できる余地はないのか。危機を前に浮足立ったり、ムードに流されたりすることなく、国民的な議論を深めることが求められる。