急速に老いるタイ 「先進」日本の経験に学べ

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入院病棟で訓練用具を使ったリハビリを受ける66歳の男性=タイ北部チェンマイのナコンピン病院で2022年6月9日午後2時26分、高木香奈撮影
入院病棟で訓練用具を使ったリハビリを受ける66歳の男性=タイ北部チェンマイのナコンピン病院で2022年6月9日午後2時26分、高木香奈撮影

 世界でもまれに見るスピードで高齢化が進む日本では介護や医療で大きな課題を抱えるが、その経験はこれから高齢化に直面する海外の国にとっては大きなヒントになる。今年中にも60歳以上の割合が人口の2割に達すると見込まれるタイもその一つだ。歴史ある仏教寺院が建ち並ぶ北部チェンマイを舞台に、日本の支援で進む高齢者ケアの現場を訪ねた。

日本と異なるリハビリ環境

 チェンマイ中心部にあるナコンピン病院。急性期の患者を診る中核病院で、66歳の男性が訓練用具を使い、まひの残る両手でコップをつかみ、積み重ねる練習をしていた。男性は脳卒中で入院して4日目。病院のスタッフからは地元の病院に転院してリハビリを続けるように勧められているが山間部の自宅からは遠く、「通うのは難しいと思う。早く退院して家で過ごしたい」。病院のスタッフは「リハビリのメリットを説明した後は、患者の判断によるしかない」と話した。

 日本の場合、脳梗塞(こうそく)患者のリハビリは急性期(発症から約2週間)で入院した病院で開始した後、半年間ほどは専門病院で続け、自宅や施設に戻るのが一般的だ。だがタイは急性期病床が不足気味で、患者は5~7日間入院した後、適切なリハビリを受けられないまま自宅に戻る人が多い。

 日本の国際協力機構(JICA)は地域の病院では稼働率が急性期病院ほど高くないことに着目し、2017年からリハビリ機能の強化を支援している。ただ、地域病院の郡サラピボーウォンパッタナー病院でリハビリを担当するパタラット医師(34)は「患者にはここで機能回復に取り組んでもらいたいが、通院できない患者もいて、均質な医療を提供できていない」と話す。

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