板野友美さんも苦悶した「アニキ」 食中毒原因1位の予防法は?
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刺し身などを食べる際に人体に取り込まれ、激しい腹痛などをもたらす寄生虫「アニサキス」を原因とした食中毒「アニサキス症」の報告件数が増加している。2018年には食中毒の原因別でカンピロバクターを抜き、トップを占めるように。アニサキスは、胃や腸の壁に食い付き、アレルギー反応による激しい痛みや吐き気をもたらす怖い寄生虫だ。6月26日には元AKB48メンバーでタレントの板野友美さん(30)が、自身のYouTubeチャンネルで被害を報告した。どう予防すればいいのか。【賀有勇】
「アニキにやられた」
「アニキにやられた」「アニキ怖い」。釣り愛好家らのブログやネット交流サービス(SNS)には、畏怖(いふ)を込めた愛称で呼ばれるアニサキスの書き込みが並ぶ。
内閣府の食品安全委員会によると、アニサキスは長さ2~3センチの線虫。プランクトンの一種のオキアミからアジやサバなどに移り、食物連鎖を通じて最終宿主であるクジラやイルカ、トドなどの海生哺乳類の体内で成虫となる。その後フンに混ざって卵が海水中に放流され、ふ化した幼虫がオキアミに食べられて再び食物連鎖に取り込まれていく。
そのライフサイクルの途中で生魚を食べた人間の胃腸にたどりつき、アニサキスが胃や腸の壁に食い付いたことによるアレルギー症状で激しい痛みが起きるとされる。
1876年、北極圏のグリーンランドでの症例で、アニサキス症は文献に初めて登場した。その後、1950~60年代にオランダで塩漬けニシンを食べた人々が相次いで発症。日本での最初の症例報告もこのころだが、アニサキスの「食中毒」としての歴史はそれほど古くない。
芸能人被害報告で広がる認知
厚生労働省によると、食中毒は原因によって①サルモネラ菌などの細菌性②ノロウイルスなどのウイルス性③アニサキスなどの寄生虫性④農薬などの化学物質性⑤フグ毒や毒キノコなどの自然毒性――に分類される。
アニサキスは99年、食品衛生法で「食中毒」の原因物質に指定され、13年からは個別に発生件数が集計されるようになった。
13年のアニサキスによる食中毒事例は88件で、全体の9・5%だったが、17年には200件を突破。17年は芸能人によるアニサキスの食中毒被害の報告が相次ぎ、認知度を高めるのに一役買った形だ。
タレントの渡辺直美さんはツイッターで「激痛」に見舞われたことを報告し、「病院で泣きました」と振り返った。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さんや「品川庄司」の庄司智春さんも、被害をテレビ番組の中で明らかにした。
主に鶏肉などにいるカンピロバクターやノロウイルスによる食中毒を抑え、18年から最多の発生件数を占め、営業停止処…
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