ロックコンサートのよう…稲川淳二さん、ホラーと違う怪談の魅力

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「ホラーと怪談は違うんですね」と力説する稲川淳二さん=大阪市北区で2022年6月8日、望月亮一撮影
「ホラーと怪談は違うんですね」と力説する稲川淳二さん=大阪市北区で2022年6月8日、望月亮一撮影

 「私の怪談ライブはね、ロックコンサートと一緒なんですよ」「ホラーとは違うんですね」。こう熱く語るのは、この道50年の稲川淳二さん(74)だ。怪談は恐ろしさだけでなく、人間らしい魅力がある「魂の話」なのだという。ライフワークにした理由の一つに、生と死にまつわる自らの実体験があると明かした。

工業デザイナーらしく緻密な設計

 50年ほど前に深夜のラジオ番組で怪談を披露したのがきっかけで、タレントや俳優として活躍してきた。1993年からは「怪談ナイト」と称した全国ツアーも展開、夏の風物詩となっている。

 笑みを浮かべ、独特のテンポと間合いで聴衆を引きつける稲川さん。原点は亡くなった母親の語りだという。「子どもの頃の学校の話とか、歴史も詳しくて聞かせてくれました。三つ子の魂百までで、子供の頃に面白いと思ったものは大人になっても面白いですよ」

 実は工業デザイナーとしての顔を併せ持つ稲川さんは、怪談も緻密に設計している。「心霊探訪」として全国各地を巡り、物語の断片をつなぎ合わせて怪談を完成させている。その作業は、細かい計算の連続だ。「心霊体験」をした人の人間関係を入念に聞き取り、地域の気候、建物や土地の様子などを図面に書き記す。

 「現場が軒が深い家だとしたら、どれだけ深いのか。風の音や外のにおいはどうか。日の出の時刻は、東京と九州でも時間差があるじゃないですか。そういうことを注意しておかないと、うそになっちゃうでしょ。怪談は怖いだけの事件じゃないから、うそはつきたくないんです」

 逆に、あいまいさを残したほうがいいこともある。「音や空気とか景色って、限定しない方がいいんですよ。例えば『田舎』は、Aさんにとっては、お母さんの実家がある山かもしれないし、Bさんにとっては、生まれた海の故郷かもしれない。ちょっと違ってきますよね」。いろいろ考え抜いて作っている。

 「ホラーと怪談は違うんですね」。稲川さんは何度も繰り返す。

生活や文化、人の優しさが…

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