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リモートワークを続けるか、新型コロナウイルス禍前のように出社に戻すかーー。レシピ検索サービスを手掛けるクックパッド(横浜市)は、出社を原則とする働き方に戻した。リモートになじんでいるように思えるIT企業がなぜ、リアルな対面にこだわるのか。「『雑談』は物事を動かす原動力」と語る、国内事業の最高責任者である福崎康平・クックパッド執行役(31)に話を聞いた。【聞き手・宇田川恵/オピニオングループ】
在宅勤務は信頼関係なしでは困難
――コロナ禍の2021年5月、本社移転と同時に、在宅勤務から出社を原則とした働き方に戻しました。どんな背景があったのですか。
◆私たちが全従業員の在宅勤務を実施したのは、コロナの感染拡大が始まった20年2月だった。最も早くリモート体制を導入した企業の一つといえるだろう。そして在宅勤務を1年超続けた結果、分かったことがある。
在宅勤務は仕事の効率を上げたり、不要な会議を減らせたりと、確かにメリットはあった。やることがはっきりしている部門や、スキルセット(職種などによって必要とされる知識・能力)が明確なメンバーは成果も上がった。だが、新規事業などを開発するクリエーティブな仕事をしている部門では、この1年超の前半と後半でまったく異なる現象が生じた。前半は問題なかったが、後半は状況が変わった。
――どんな変化があったのですか。
◆前半は、既に対面で仕事をしてきた仲間同士の信頼関係ができていたので、この関係を前提としたリモートワークだった。一方、後半になると新しいメンバーがどんどん入ってきた。オンラインだけで新しいメンバーが会社のカルチャーを十分理解したり、既に働いていたメンバーたちと信頼関係を築いたりするのはそう簡単ではない。関係性がないまま仕事をしたことで、互いに遠慮し合って、切磋琢磨(せっさたくま)しにくくなった。また、責任感のある人が膨大な仕事を抱え込んでしまうようになった。
さまざまな…
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