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第26回参院選

2022年夏の参院選は6月22日公示、7月10日投開票。関連するニュースをまとめています。

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山本有三が抱いた参院への希望 細川護熙さんが憂える現代の気概

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ありしの山本有三さん=1973年撮影
ありしの山本有三さん=1973年撮影

 久しぶりに作家、山本有三の旧邸、東京都三鷹市にある三鷹市山本有三記念館を訪ねた。緑まぶしい庭園を抜けると、しょうしゃな洋館が現れる。かれこれ10年ほど前、永田町で憲法改正の動きが顕著になっていたころだった。古本屋でふと手にした終戦直後の有三のエッセー集を読み、驚いた。山本有三といえば、小説「路傍の石」くらいしか浮かばなかったが、憲法の口語化に尽力していたことを知った。彼は恒久平和と戦力の放棄について「裸より強いものはない」ときっぱり述べていたのである。いまどきの感覚からすれば、うぶすぎるが、かみしめるべき言葉だな、と思った。

第1回参院選に立候補

 参院選たけなわの夏、また有三が気になりだした。彼こそ1947年の第1回参院選に立候補した傑物のひとりであり、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で安全保障が争点になっているからでもある。記念館には出馬の決意を表明したラジオ演説用のナマ原稿が保存されていた。<……学者とか文学者とかいう者は、とかく政治にたずさわることを喜ばなかった。それは、竹林の七賢人のように、世間から遠ざかって、自分ひとりで気炎をあげていることが、清い高い生活であるとする、東洋風な思想がはびこっていたからであると思います>。選挙ポスターもあったが、顔写真などなし。わきに添えた<純 無所属>の文字がやけに誇らしげ。

 「おもしろいハガキがありました!」。学芸員の三浦穂高さん(36)が見せてくれたのは黄ばんだ推薦状だった。志賀直哉や正宗白鳥らと並び、山本有三先生推挙学生同志会なる組織の名も。<正しい強い文化人を議会へ送ること、これを実行しないかぎり、「文化日本の建設」は、望めません>。「危機感を募らせていたのでしょうね。敗戦日本を復興させるには文化の力しかないとの信念がありましたから。穏やかそうですが、思い立ったらすぐ実践する。行動の人だったようです」。三浦さんは改めて年譜をたどり、あれっ?と小さく声をあげた。「気づきませんでした。…

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【第26回参院選】

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