- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

日本各地で活躍する現金自動受払機(ATM)。設置台数の国内トップは「ゆうちょ銀行」の約3万2000台。2位は大手銀ではなく、何とセブン銀行の約2万6000台だ。躍進の秘密を探ろうとセブン銀のATM開発に最初期から携わってきた松橋正明さん(60)を訪ねると「予想外」の連続だった。
開発者、異色の経歴
「セブン銀のATMの使いやすさには、めちゃくちゃ自信があります。夢中になってお客様のニーズに対応してきましたから」。東京・丸の内にあるセブン銀本社を訪ねると、自慢のATMがずらりと並んでいた。応接室で待ってくれていた松橋さんは喜々として語り始めた。
松橋さんは釧路工業高専(北海道)を卒業後、NECの関連会社に入社。そこに、新たに銀行業界に参入することになった同行からATM開発の話が舞い込んできた。松橋さんにATM開発の経験はなかったが、「セブン―イレブンからは新商品がどんどん出てくる。そんな会社が銀行業務に参入するなら面白いに違いない」と手を挙げた。
一般の金融機関のATMは銀行の支店内や公共施設など常に空調が利いている場所に設置されることが多い。これに対し、路面に向かってガラス張りというつくりのコンビニ内は直射日光にさらされやすく、ATMの温度変化が激しい。こもった熱で電源が突然落ちてしまうトラブルが続出した。全面を断熱材で覆うなど試行錯誤を繰り返し、設置台数を増やしていった。以来、20年以上。2003年にセブン銀に移ってからも、ATMを中心としたIT(情報技術)分野で活躍してきた。
今年6月20日、ATM一筋の人生に大きな転機が訪れた。新たな役職に抜てきさ…
この記事は有料記事です。
残り1688文字(全文2376文字)